地下道

朽ち果てた長い夢の終わりは
電球のずっと昔に切れたことが容易に想像のつくような
だれも近寄らない真っ暗な地下道へと続いている。

ホコリの舞う階段の一歩一歩をゆっくりと確認しながら
次第に光を拒絶する一本道を、
靴音だけが響く闇の中をたった一人で進むめるのも
本を片手にくつろいだ矢先に来てしまったこの世界から
この先の出口が引き戻してくれるだろうと期待するから。

もし背後から何かが追ってきたら
追いつかれないくらいに全速力で走り抜けられるのに
物音さえ何も聞こえはしないし
あるのはどこを向いても何も見えないたった一本の道。
何も起こりそうも無いし、疲れなんて感じることの無い夢の中だから
僕は感情を沸きたてずに無心に進むことができるのだろうか。

希望を捨て去れない僕にできるのは
ただ真っ暗な目の前を突き進むこと、ただそれだけ。
なんとなく疲れも感じ、不安も覚え始めながらも
今、見えることのない現実を歩きつづけている。
夢からの開放を期待して、
明るい日差しの目の前で眠ることが大好きだった夢を取り戻すために
僕は自分の存在さえ確認できないような闇のふちを歩きつづけている。

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By GloomyWind 2003/3/29
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